相続した空き家の3,000万円控除は「3年以内」だけでは足りない。期限が3つあるので逆算した
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相続した実家を売るときに使える「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特別控除」は、譲渡所得から最高3,000万円を差し引ける制度です。
よく知られているのは「相続の開始があった日から3年」という期限です。ただし国税庁の記載を読むと、期限は3つあります。そして今(2026年8月)の時点では、3年の期限より先に来るほうが問題になります。
この記事は国税庁のタックスアンサーNo.3306(2026年8月4日確認)に書かれている条件だけを使って、必要な期限を整理し逆算したものです。
- 期限は3つある。相続から3年/制度自体の適用期限(令和9年12月31日)/譲渡後の耐震・取壊し(翌年2月15日)
- 令和7年以降に相続が開始した場合、3年の期限より制度の適用期限のほうが先に来る
- 令和9年12月31日まで、この記事の公開時点で残り約1年5ヶ月
- 控除額は最高3,000万円だが、令和6年1月1日以後の譲渡で相続人が3人以上なら2,000万円に下がる
- 昭和56年5月31日以前に建築された家屋であることなど、期限以外の要件もある
期限1: 相続の開始があった日から3年
国税庁の記載はこうです。
相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること。
「3年」ではなく「3年を経過する日の属する年の12月31日」です。相続が2024年3月なら、3年を経過するのは2027年3月で、その年の12月31日が期限になります。年の途中で相続が開始したぶんだけ、実際の猶予は3年より長くなります。
期限2: 制度そのものが令和9年12月31日で終わる
見落とされやすいのはこちらです。
平成28年4月1日から令和9年12月31日までの間に売って
適用されるのはこの期間の譲渡に限られます。相続がいつ起きたかとは関係なく、譲渡が令和9年12月31日を過ぎると使えません。
| 相続の開始 | 期限1(相続から3年) | 期限2(制度の期限) | 先に来るのは |
|---|---|---|---|
| 令和5年(2023年)中 | 令和8年12月31日 | 令和9年12月31日 | 期限1 |
| 令和6年(2024年)中 | 令和9年12月31日 | 令和9年12月31日 | 同じ |
| 令和7年(2025年)中 | 令和10年12月31日 | 令和9年12月31日 | 期限2 |
| 令和8年(2026年)中 | 令和11年12月31日 | 令和9年12月31日 | 期限2 |
この表は国税庁の記載から当サイトが整理したものです。令和7年以降に相続が開始した場合、「まだ3年ある」と考えていると間に合いません。
不動産の売却は、査定・媒介契約・買主探し・契約・決済と進むため、思い立ってから引渡しまで数ヶ月かかるのが普通です。取壊しや耐震改修が必要ならさらに前倒しが要ります。
期限3: 譲渡した後にも期限がある
令和6年1月1日以後の譲渡には、譲渡の後に作業を終わらせる形の特例があります。
譲渡の時からその譲渡の日の属する年の翌年2月15日までの間に
この期間内に耐震基準を満たすか、家屋を取り壊す必要があります。つまり売った後にも締切があるということです。12月に譲渡すると、翌年2月15日まで2ヶ月ほどしかありません。
また、耐震基準適合証明書を使う場合は「譲渡の日前2年以内に証明のための調査が終了している」ことが条件です。古い証明書は使えません。
控除額は相続人の数で変わる
最高3,000万円ですが、条件があります。
令和6年1月1日以後の譲渡で、相続人の数が3人以上の場合は2,000万円までとなります。
きょうだい3人で相続した実家を売る場合、1人あたりではなく控除の上限そのものが2,000万円に下がります。
期限以外の主な要件
国税庁が挙げている要件のうち、対象から外れやすいものです。
- 昭和56年5月31日以前に建築されたこと(旧耐震基準の建物が対象。それ以降の建物は使えません)
- 区分所有建物登記がされている建物でないこと(分譲マンションは対象外)
- 相続の開始の直前において被相続人以外に居住をしていた人がいなかったこと(同居家族がいた場合は対象外)
- 売却代金が1億円以下であること
この記事の位置づけ
国税庁タックスアンサーNo.3306に書かれている条件を整理したもので、税務相談ではありません。特例の適用可否は個別の事情で変わります。実際の判断は税務署または税理士に確認してください。
内容は2026年8月4日に確認したものです。税制は改正されます。
この記事で確認できていないこと
- 制度が令和9年12月31日より先に延長されるかどうか。 過去に期限が延長された経緯はありますが、次の改正は確認できません。延長を前提に計画を立てないでください
- 特例を受けるための添付書類(被相続人居住用家屋等確認書など)の取得にかかる期間
- 取壊し費用の相場(地域と構造で変わるため、この記事では扱っていません)
- 他の特例(居住用財産の3,000万円控除、取得費加算)との併用可否
まとめ
- 期限は「相続から3年」だけではない。制度自体が令和9年12月31日で終わる
- 令和7年以降の相続では、制度の期限のほうが先に来る
- 譲渡した後にも「翌年2月15日まで」の耐震・取壊し期限がある
- 相続人が3人以上なら控除の上限は2,000万円
期限が近く、通常の仲介では買主が見つかりにくい物件(共有持分・再建築不可・接道なしなど)は、買取業者に直接売る選択肢もあります。買取価格は個別査定なのでここでは扱いませんが、期限から逆算して動き出す時期を決めるための材料にしてください。